日産自動車株式会社 走行制御開発部

谷口弘樹 Hiroki Taniguchi


中学・高校では合唱に明け暮れる日々。当時から飛行機や宇宙への憧れが強く、高校卒業後、東京大学理科Ⅰ類へ進学。航空宇宙工学を専攻。07年東京大学工学系研究科へ入学。航空宇宙工学を専攻し、飛行機の制御を研究する中で、制御の面白さ・可能性に出会う。自分の開発した制御を自らもお客様にもわかってもらえると感じ、自動車業界へ。09年から日産自動車で、エンジニアとして走行制御開発に携わる。

スケジュール

6:00 起床、読書(1時間程度) 8:30 通勤(30分程度) 9:00 業務開始 13:00 昼食(主に社員食堂) 21:00 帰宅 22:00 自己投資(読書、ブログ、情報収集) 0:00 就寝]

谷口弘樹 Hiroki Taniguchi

中学・高校では合唱に明け暮れる日々。当時から飛行機や宇宙への憧れが強く、高校卒業後、東京大学理科Ⅰ類

まず今の仕事と、なぜその仕事を選んだかを教えて下さい。

今の仕事である走行制御開発とは、制御の無い状態ではできなかったような動きを実現すること。例えば、ドライバーがハンドルを回した時に、コンピュータを駆使してブレーキやエンジンを制御することで、通常時よりも大きく、安全に車体を動かすことができます。

 

この仕事を選んだきっかけは、もともと飛行機や宇宙に憧れがあって、大学で飛行機制御の研究室に入ったこと。研究室では、コンピュータを載せたラジコン飛行機を飛ばして、GPSを利用して、あらかじめ指定したポイントで写真を撮影して帰ってくる実験などをしていました。そういう中で、制御ってすごくおもしろいなあと思って。制御でモノの価値を広げられるんだなと。

 

 

そこから、日本でみんなが手に取るようなもので、制御がつかわれているのは何かと考えた時に、自動車だと思いました。自動車は、お客様自身がハンドルを握って、制御の価値を実感できる商品。開発した人と、それを使った人が同じ価値を感じられるところに魅力を感じました。

 

高校から強い憧れを持っていた宇宙にももちろん興味はありましたが、巨額の投資をすることに対する費用対効果や、それを日本で行うことに自ら明確な答えを見出すことができず、選択肢から外してしまいました。

研究室にいた時から、「自動車の制御」という仕事の具体的なイメージがあったのですか?

当時から、制御に携わっている人に話を聞きに行っていたんですよ。大学院一年次のインターンで実際に仕事場を訪れたり。制御という意味では、自動車はエンジニアが自分の手で開発の成果を体感できる。ここがこう良くなった、ここがまだダメだ、というのを、自分で運転して肌で感じられるのが面白くて。そういう中で、この仕事は向いているなという実感を得ることができた。

今の仕事と研究室選びがすごくリンクしていたんですね。

研究室については、高校生のときに、かなり時間をかけて調べていました。航空宇宙に関係する、実践的な研究をしたいと思っていたので、ホームページでどの大学の研究室でそういう研究ができるのかをリサーチしていました。特に東大のページは隅から隅まで読んでいましたね。高校2年生のときに、父親と一緒に東大と京大の研究室に見学に行ったり。

 

高校生が『大学で何やっていいかわかんない』というのは、大学で何をやっているか知らないからだと思うんです。入ってからがっかりするのは、すごくもったいない。オープンキャンパスに行く人も多くは無いし。東京近郊の高校生は当たり前にそういうことをしているから、そこのギャップを埋める努力をするのは重要だと思います。特に自分の場合は、理由がないと頑張れないから、理由探しからまず入ることが大事でしたね。

やりたいことが明確にあり、それを軸に就職したことで、満足感が高いように感じます。

そう思います。一つ重要なのは、この会社のこの部署ならこれができる、ということを、事前にリサーチすること。先ほどお話したように、私は制御の部署の方を紹介してもらったり、インターンに参加しました。日産は自分の希望を真剣に聞いてくれましたし、もし途中でやりたいことが変わっても、オープン・エントリー(社内公募制度)で新しいことにチャレンジする機会も準備されている。そういうオープンな風土も自分には合っていると思います。

 

また若手のうちから仕事を色々と任せてもらえ、プレッシャーに感じることもあるけれど、やりがいを感じられるという面ではいいと思っています。うまく使えば、自分自身を伸ばせる環境だから。

やりがいのある仕事を選んだ一方で、妥協したことはありましたか?

妥協したことは実は結構たくさんある(笑)例えば、働いている場所が神奈川の厚木にあって、勿論都内の方が刺激があって友達も多くいるから良いんだけど、自分がやりたいことをやるには厚木じゃないとダメだったり。

 

給与の面でも、大学の同期で僕より稼いでいる奴も沢山いる。製造業は雇用人数が多いこともあって、絶対水準はそこまで高くないかもしれません。ただ一方で、自分のやりたいことは、数千万、数億といった設備や開発費用が必要で、それを会社が出してくれると考えると、とても恵まれていると思います。ある意味、趣味にお金をかけているのと同じような感覚なのかな。

最後に、今後チャレンジしたいことを教えて下さい。

自動車は成熟産業で、今後どう成長していくかという課題が山積み。でも最近では、電気自動車の開発が進む中で、別業態とのコラボレーションなどが注目されていて、自動車にはまだまだ広がりがあると感じます。そういう新しい分野の開発は、自分たちの世代が担っていると思うから、勉強会やSNSを通じて自分でも勉強しています。

 

最近、世界初と呼ばれるの技術の開発に携わっていて、すごく毎日やりがいを感じながら働けています。そういうチャレンジができる環境というのは、エンジニアにとってはすごく重要。

 

ただ、エンジニアの世界には、日本ならではの問題があるなと感じるのも事実ですね。近年製造業では、日本のシェアが韓国・中国勢に奪われてきていて、研究開発にまわせる利益が確実に減って来ています。すぐにお金にならない新技術に対して、投資する余裕がなくなってきているのは事実。エンジニアとして、その事実を発信していきたいし、この状況で何ができるかはすごく考えていますね。

 

(2011年5月 インタビュアー 高坂 春菜)

 

カテゴリー:エンジニア,会社員

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