有限会社伊勢ファーム チーズ職人

伊勢昇平 Shohei Ise


2004年旭川東高等学校を卒業、帯広畜産大学に入学。2008年に同大学を卒業後は、1年半にわたり十勝の共同学舎で農作業の実習を行う。後に江丹別の風土にブルーチーズが適していることに気付き、フランスで10日間、ブルーチーズ作りの大枠を学ぶ。以降、生家である「有限会社伊勢ファーム」にて、日々美味しいチーズ作りに励んでいる。

スケジュール

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伊勢昇平 Shohei Ise

2004年旭川東高等学校を卒業、帯広畜産大学に入学。2008年に同大学を卒業後は、1年半にわたり十勝

鈴木 聖史 Suzuki Satoshi

旭川東高校卒業後、1年の浪人期間を経て明治大学理工学部へ進学。大学在学時より東映撮影所で編集助手とし

三堀大介 Daisuke Mitsubori

1989年東高卒。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後、株式会社パルコプロモーション(現パルコス

そこそも、なぜ江丹別でチーズ作りを始めようと思ったのですか?

実家でソフトクリームを始めたのをきっかけに、「この仕事良いな」と思いました。それまでは嫌いで・・・田舎だし、本当に貧乏だったし。東高行ってた時も、漠然と「大きいことをしたい」と考えていたのですが、英語がすごく好きだったので、「世界的な仕事がしたいな」と思ってました。そんな中、高校時代に英会話の先生から、「お前の家は牧場をやってて、お前の家でしか作れないチーズを作って世界に出したら、それも世界で仕事することになるんだぞ」と言われて、それは面白いなと思ったのがきっかけです。

地元、田舎は嫌だったのですね。

そうですね。高校でも「お前んち電気来てんのか」とかいじられるし、コンプレックスみたいなのもありました。残る人もほとんどいないし、人もどんどんいなくなるし、当時は全然魅力を感じてなかったのですが、今はむしろ田舎の方が面白いと思いますね。何でもできるので。最近は僕らの世代も少しずつ戻ってきているので、何か面白いことができたら良いなーというのは感じてますね。

地元を盛り上げたいという思いはありますか?

単純に、自分の住んでるところが面白いところになってほしいなというのは勿論あります。そこまでの使命感があるわけではないですが、これからやっぱり「地方」というのがどれだけ力を持てるのかというのは結果的にすごく大事になると思うんですよね。やっぱり都心に一極集中するのは明らかに良くないって言われてるのにそれに歯止めがかからない状態が続いてて、これから高齢化社会で本当に機能するのかって問題をどうするのかというのはすごく言われているので、その中で、地方で魅力ある生き方・生活ができればそれが一つのきっかけになるのかなとは思います。

お仕事のスケジュールは?

朝は6時から搾乳。6時から仕事なら、6時に起きれば良いのがこの仕事です。1時間ほどしたところでチーズ作りを開始。11時頃からはフリータイム。ここで休憩や昼食をとった後は、ソフトクリームの販売やチーズを切る等の作業をします。午後4時にもう一度搾乳。朝夕2回の搾りたて牛乳を使用してブルーチーズを作っているのがこだわりなんです。夜6時からおよそ9時30分頃までチーズ作りに充てています。休みは無いですが、比較的フリーに動くことができるのが特徴だと思います。

 

※編集注 有限会社伊勢ファーム:旭川市江丹別にあり、40年ほど前に愛媛県から移住した同氏の両親が始めた農場。約20頭の牛(ジャージー、ブラウンスイス、ホルスタインの3種)を無農薬の牧草地で飼育している。農場の売店ではブルーチーズの他、ソフトクリームや自家製ソーセージ等も販売している。

 

大変だなと思うことはありますか?

他に同じこと(ブルーチーズ作り)をやっている人がいないので、そういう意味では苦労することもあります。でもそこから色んな繋がりが生まれるっていうのは本当に楽しいので、大変なことはあるのですが、基本的には良い仕事だなって思います。楽しいなと思いますね。

生きがいを教えて下さい。

人とつながることですね。飲食関係に限らず、「食」って誰しも一日基本的には3回、少なくとも1回か2回は食べるので、その中で食べてもらうっていうのはすごく嬉しいし、そこから話が広がるっていうことが凄く多いです。

 

こういう過疎の地方でどうやっていくかっていうのは北海道の色んなところで課題にもなってて、そういうような活動もしているんですが、そういう人たちと集まって「面白いことしようよ」とか、そういう風になってくることがすごく面白いですね。

今後の展望を教えて下さい。

少しでも良いチーズを作って、それを毎日食べてもらうっていうことが、一番だと思っています。それを続けていると色んな形で話が進んでいくというのがあるので。いかに意思疎通できるか、食べてもらうかっていうところに集中していれば、自然に良い流れができてくると思うので。まずはそこに集中したいというのが今の思いです。

 

農産物を作るのもそうですが、僕の考える農業って、生活そのものだと思うんですね。だから、どういうところに住んで、どういうものを食べて、どういう生活リズムで暮らすのかというように、トータルで田舎を楽しんでもらうというのもできたら良いなと思います。最終的にそれで地方・土地というのを食べるなり暮らすなりで感じてもらえれば良いです。

 

伊勢ファーム

最後に、後輩たちへメッセージをお願いします。

僕がこの仕事に就いた時、考えの変化がありました。この土地が嫌いだったという話をしましたが、魅力が無いと思っていたんですよ、こういうところには。何の面白さも無いって。でも実は、最初から魅力はあって、それに気付けていないだけだったと思うんですよね。最初はすごく田舎に住んでるってことが自分にとってデメリット、不利な条件だと思ってたんですけど、ちょっと考えてみると、牧場の息子に生まれたっていうのは、これはもう自分の才能だなっていう風に思ったんですよね。いくら「チーズ作りたいな」とか思っても、牧場持ってて牛乳絞ってなかったら、どんなに腕あってもチーズ作れないですよね。そういう意味では、いきなりそういう条件を与えてもらっているっていうのは「すげー良いとこに生まれてんじゃん!」って思いましたよね。自然があるところに生まれたってこと自体も。

 

なので、「自分に何ができるんだろう」って考えたりするんですけど、違うっていう人もいるかもしれませんが・・・大抵持ってるんだと思うんですよね、自分にしかできない事を。自分が気付いていないだけで。「自分が何を持っているのか」ってことに気付きさえすれば、自然にそれに向かって打ち込めて、そういう時って色んなことがすごく良い循環で進んでいくので、無理に「何かを身に着けよう」とか、「これが足りない」とかってあんまりならなくても良いんじゃないかなというのが僕の考えです。

 

(2014年8月 インタビュアー 白井美沙子)

カテゴリー:フリー/個人事業主

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